還暦世代にとって、まさに我が身のこととなってきた年金受給。
「ねんきん定期便」の数字を見て、受給見込み額の少なさに愕然としたり、報道でしばしば取り上げられる「年金受給者の悲惨な現状」に触れて、漠然とした不安に襲われることも多いのではないでしょうか。
その不安の原因のひとつは「年金のことがよくわからないから」なのかもしれません。
しかし、私たちのこれからの生活の支えのひとつであるこの年金について勉強しようと思って調べてみても、
次々と出てくる難しい言葉の数々に、さらに不安が深まったりしませんか?
そして、それにもめげずに難解でややこしい単語たちと格闘した結果・・
「これ結局自分には関係ないのでは?」というようなことが結構あるものです。
そこで、なるべく効率よく年金制度を学ぶために、そして、難しい単語の数々に翻弄されて学ぶことをあきらめてしまわないように、
「生年月日によっては関係のない言葉」についてまとめてみました。
生年月日がポイント!年金の歴史が生み出したややこしさ
厚生労働省のサイトでは、
『我が国の公的年金制度については、昭和17(1942)年に労働者年金保険制度が創設されて以来・・』という感じで年金制度の歴史について説明しています。
しかし正直なところ、すでにその内容自体がとても難しいと感じます。
そこで、
私たち還暦世代が直面しているややこしさの原因と思われる部分にだけ着目してみましょう。
それは、
『・・そして第3期は、少子高齢社会へ対応するため、年金制度の見直しを行った時期で、現在も改革を進めている』
というところ。

この「現在も続いている改革」というのが、
年金制度のややこしさの大きな原因なのです。
年金制度はただでさえ難しくて分かりづらいもの。
その分かりづらい年金の話をさらにややこしくしている言葉のほとんどが、この少子高齢社会へ対応するために昭和60(1985)年におこなわれた制度改正の際に生まれたということです。
- 制度改正には「移行措置」というのがつきもの。
- 急に変えると混乱したり不満が出たりするので、「段階的にゆっくり変える」ことになる。
- するとそこに「特例」というものが必要になる。
そしてその結果として、「特例」の対象に該当する人にだけに関係のある言葉が生まれます。

その特例の該当者かどうかは「生年月日」によって決まる。つまり、その生年月日による基準に当てはまらなければ関係ないということです。
その「関係ない人」の生年月日が、
- 男性:1961年(昭和36年)4月2日以降に生まれた人
- 女性:1966年(昭和41年)4月2日以降に生まれた人
となっています。
ではこの生年月日にあてはまる人には関係のない年金用語を見てみましょう。
要確認!自分に関係のない3つの言葉
制度改正による移行措置が生んだ特例。
特例というからには対象者にとっては嬉しいことで、逆に対象でない場合は悔しいことである場合が多い。
うまくやらなければ大きな不平不満が噴出してしまう制度改正には、制度を作る国としても慎重になる必要があり、そのために有効なのが移行措置というものなのです。

移行措置の目的は、「1年違って大違い」のようなことを起こさないことです。そうならないように年金制度も40年以上の期間を使って少しずつ変えてきたわけです。
ではその長い年月をかけた移行措置が生み出した、
「年金の説明によく出てくるものの、生年月日によっては関係のない3つの言葉」を見てみよう。
1、特別支給の老齢厚生年金
2、振替加算
3、厚生年金の定額部分
順番に見てみましょう。
関係ない言葉1《特別支給の老齢厚生年金》
これは、年金の支給開始が60歳から65歳に引き上げられたときに、
反発や混乱を避けるために作られた、65歳にならなくてももらえる年金のこと。「来年から年金がもらえる」と予定していたところに、「制度が変わって5年延びました」ということになったら大きな騒ぎになります。
そこで、51歳からもらえる人、52歳からの人、53歳、54歳という感じで
段階的に少しずつ支給開始の年齢を上げていったというわけです。そしてその移行措置の期間が終了するのが、男性は2025年、女性は2030年です。
それ以降はすべての人が65歳からの受給開始となります。
つまり、その年までに65歳になっていない人には関係ないということになるので・・・
男性:1961年(昭和36年)4月2日以降に生まれた人
女性:1966年(昭和41年)4月2日以降に生まれた人この場合、「特別支給の老齢厚生年金」は関係がないというわけなのです。
関係ない言葉2《振替加算》
はまお「加算」ということはプラスでもらえるお金ということなのですが、どんな人がもらえるものなのかを知るために、振替加算が生まれた背景をかんたんに説明しよう。
1986(昭和61)年の年金制度改正で、20歳から60歳になるまでのすべての人(当時は学生は除く)が強制的に国民年金に加入することになった。
そしてその期間に納めた保険料によって65 歳から老齢基礎年金を受け取る。
するとここで問題になるのは、それまで年金に加入していなかった専業主婦などです。60歳までの間の国民年金の加入期間が短くなり、その結果、もらえる年金額が少なくなる。
はまおそこで「振替加算の制度でその分を足してあげましょう」ということになったわけですが、何か釈然としませんよね。
加入していなかった分の年金が少なくても仕方がないのではないかという感覚があるのも当然ですが、これにも理由があります。
その1986(昭和61)年の制度改正から今現在に至るまで、「第3号被保険者」と呼ばれている「会社員の夫に扶養されている専業主婦」は、保険料を免除された形で国民年金に加入しているのです。
はまお納得できない感はあるが、そこには会社員を増やしたかった国の方針や思惑があったそうで、結果的にそうなっています。
このような事情で、
「改正前に未加入だった人」と、「保険料を払わなくても年金がもらえる専業主婦」の受給額に差が出るのは問題がある、というのがこの振替加算が生まれた理由というわけです。
そして性質上、この振替加算にも生年月日によるラインが引かれています。
振替加算がもらえるのは、制度改正が行われた1986年4月に20歳になった専業主婦の人まで。つまり・・・
1966(昭和41)年4月以降に生まれた女性は振替加算の対象外となるのです。
関係ない言葉3《厚生年金の定額部分》
だいぶ時をさかのぼりますが、 昭和29年の制度の改正で、老齢厚生年金は「報酬比例部分」と「定額部分」とに分けられました。
- 「報酬比例部分」:厚生年金の保険料を支払った期間とその時の給料で計算される。
- 「定額部分」:厚生年金の保険料を支払っていた期間の長さのみで計算される。
そして1986(昭和61)年の年金制度改正で、60歳だった老齢厚生年金の受給開始年齢が65歳になり、その移行期間が終わる年には、
- 「報酬比例部分」は「老齢厚生年金」へ
- 「定額部分」は「老齢基礎年金」へ
それぞれ引き継がれることになりました。
つまり、
この「厚生年金の定額部分」という言葉は、男性は2025年、女性は2030年の時点で無くなるということなのです。
(ただし、報酬比例部分という言葉は残り、厚生年金の制度の説明には登場する)
- 男性:1961年(昭和36年)4月2日以降に生まれた人
- 女性:1966年(昭和41年)4月2日以降に生まれた人
この場合「厚生年金の定額部分」は関係のない言葉ということです。
まとめ
年金制度のややこしさを解消するための話だったのですが、この話自体がややこしかったかもしれません。
いずれにしても大事なのは、
この関係ない言葉たちに惑わされたり必要以上に難しく考えて、学ぶことをあきらめてしまわないことなのです。
年金に限らず、社会保障の制度はどれも分かりづらいものです。
しかし歴史的な背景や、世の中の変化の中で必要に迫られて移り変わってきた事情などに触れることで、多少は理解しやすくなるのではないでしょうか。
人生100年時代。年金制度はまさに人生を終えるその瞬間まで私たちの暮らしを支えるものですから、ややこしさやめんどくささに負けずに向き合っていきたいものです。


そこで、51歳からもらえる人、52歳からの人、53歳、54歳という感じで
そして1986(昭和61)年の年金制度改正で、60歳だった老齢厚生年金の受給開始年齢が65歳になり、その移行期間が終わる年には、
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