こんなはずじゃなかった・・
いったい何がいけなかったのだろうか?
若い頃に思い描いていた60歳の姿はどんなものだっただろう?
住宅ローンも完済し、教育費の心配もなくなった。年金の受給開始までは退職金でつないで、そのあとは年金と貯金で生きていける。とか、
あるいは、
起業して成功し大きな財を成した。60歳どころかもっと若くしてリタイアして悠々と暮らしている。なんて、
そんな想像に心躍らせていたかもしれない。
しかし現実は・・・
60歳なのにお金の心配が止まらない!
どうしてこんなことになってしまったのか?
いったい何がいけなかったのだろうか?
お金が心配な60歳は少数派なのか?
「還暦のあたり」にいらっしゃるみなさん、こんにちは、ファイナンシャルプランナーの芝ハマヲです。
いろいろあった人生もやっとここまで来ました。さぁこれからはのんびりと・・なんていっている場合ではありませんね。
特に・・・
60歳なのにお金の心配が止まらない!
そんな人にとっては、今まさに「人生の危機」ともいえる状況ではないでしょうか?
若い頃はたとえ経済的に苦しくても、まだまだ希望が持てました。
昇進して収入が上がるかも・・
好待遇で迎えてくれる転職先があるかも・・
起業して大きく稼ぐことも夢じゃない・・
なんて、
たとえ根拠などなくとも、そんな未来が想像できたのではないでしょうか?
しかし結局そんなことは起こらず、あるいはチャレンジしてはみたものの夢破れ、その結果、還暦を迎える年になった今、
衰えを隠せないからだの老いも手伝って、お金の心配は増すばかり!

まあ仕方ないか、不景気や生活苦の話題があふれる今の世の中、みんなこんなものだろう。自分だけじゃないさ・・きっと。
と、ほんとにそう思えれば少しは気が楽になるところですが・・

リタイア世代に向けたお金の情報を目にするたびに、違和感のようなものを感じないだろうか?
●退職金を狙った怪しい投資の話にご用心!
●働きすぎると年金がカットされてしまう!
●子供たちに賢く資産を遺そう!
といわれても自分は・・
狙われるような退職金などなく、カットされるほどの年金額ではない。遺す資産?そんなものあるわけない。

ん?・・自分は他の人たちとちょっと違う気がする。
おや?・・なんとなく他の人よりマズイ状況にある気がする。

もしもあなたがそんな悪い予感のなかにいるのなら、ぜひこの先を読み進めてください。
時代の流れで変化する老後資金の3本柱
人生の3大資金とは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」といわれ、これは今も昔も基本的に変わっていません。

しかしこの「老後資金」の考え方は、時代の流れや社会の変化の中で大きく変化してきています。
もう一度思い出してみましょう。古き良き時代の老後資金のイメージを。
『年金の受給開始までは退職金でつないで、そのあとは年金と貯金で生きていける。』
今、そんな人は例外的といってもいいでしょう。
「貯金」「年金」「退職金」
そのどれもがひと昔前とだいぶ違った状況になっています。
●30年を超えるデフレ経済の中で、給料は上がらないのに税金と社会保険料は増え、とても貯金どころではなかった。
●少子高齢化で年金の受給額は減少傾向にあり、これは当面変わることはない。
●転職が当たり前の就社意識の変化や雇用する企業側の方針転換によって、退職金の平均額はこの20年間で1,000万円以上減少。
こういった状況の中で不安を抱えている人も多いはず。いや、不安をとおり越して、もはや恐怖すら感じているかもしれません。

人生100年といわれているのに、これから先、自分は生きていけるのだろうか?

老後資金の3本柱の不足を補うものはふたつしかありません。それは、「長く働き続けること」と「今ある資産を少しでも増やすこと」です。
いま感じている不安は、社会環境の急激な変化や政治の無策によるところも否定できませんが、もしかしたら自分自身にも何かが足りなかったのかもしれません。
なぜお金のない60歳になったのか?
同じ時代の同じ社会環境を生きてきた同じ世代の人たち。還暦を迎える年齢になって、経済事情に大きく差が出てしまったのはなぜなのでしょう?
「怠け者?」「浪費グセ?」「大失敗?」
・・・というような人は少ないのではないかと思います。
むしろ、
ツラい仕事でも怠けずちゃんと働いて、欲しいものも我慢して、贅沢なんて数えるほど。うまい話にのせられて大きな負債を背負った、なんてこともない。

自分は一生懸命生きてきた!自分は悪くない!それなのに今お金がないのは誰が悪いのか?
社会や境遇のせいにしたい気持ちは分かりますが、それでは前に進めません。

そこで、FPの視点で「足りなかったもの」を考察してみましょう。
《結果の違いを生んだ3つの知識》
足りなかったものがあるとしたらこの3つ。
①社会制度・・社会保障制度や税制、その他の行政サービスには知らないと損をすることが多い。公的機関はそれほど親切ではありませんから、自ら調べて行動しなければなりません。
②金融・・最近こそ学校の授業に金融教育が取り入れられるようになりましたが、お金の話がタブー視され、学校教育から外される時代が長く続きました。今や「ローン」「資産運用」などは身近で必須なものとなっています。
③情報・・大手のメディアを中心に「間違った常識」が広められることも多い。企業は利益追求のために必要以上に不安を煽ったり、不利な事実を隠したりするものです。情報は複数の視点からとるべきです。
こういうことについて学んだり、注意深く考えていればおそらく結果は変わっていたと思います。
とはいえ、時間を戻すことはできません。時が過ぎてしまった今、いったいどうすればいいのでしょうか?
還暦の今こそ学ぶべき4つの知識とは?
「社会制度」「金融」「情報」・・知識が足りなかったと言われれば心当たりがあるかもしれません。とはいえ・・

今さら社会の仕組みとかお金のこととか、そんな難しいことを学んでも手遅れなのでは?
と思ってしまうのもしかたありません。
しかし本当にそうなのでしょうか?
60代はいろいろな選択を迫られる年齢でもあります。
定年退職、年金受給、生命保険の見直し、親の介護・・数々の問題と向き合わなければならないのです。
そんないろいろな問題の共通点・・それはお金。すべてがお金に直結しています。

そうです、学びが必要なのはむしろこれからなのです。そして還暦世代が今まさに学ばなければならないのがこの4つ。
《還暦世代だからこそ必須な4つの知識》
「知らなかった」で損をしないために、今からでも学ぶべきことはこの4つ。
①雇用保険・・定年退職時の失業保険の扱いや、給与の減少の際に受給できる60歳以降限定の給付金など、必須の知識はたくさんあります。
②年金・・老後資金の一番の柱。幾度かの改正を経て難解になってる年金制度は、2025年から更なる大改正が予定されていて、目が離せない状況です。
③健康保険・・高齢になるほど医療費はかかります。自費負担の上限を決めた「高額療養費制度」などは、民間の医療保険を考える際に外せない知識です。
④金融・・利息を払う「ローン」「クレジット」、複利の効果で資産が大きく増える「資産運用」。どちらをとっても私たちの生活には「金利」が大きくかかわっています。
今から学ぶことが手遅れかどうか?それは、「人生100年時代の60歳」という年齢をどうとらえるかによるでしょう。
「もう60歳」なのか?「まだ60歳」なのか?
お金の好循環を作り出す3つの要素とは?
今お金がない理由はなんとなくわかった。今からでも学ぶことがこれからを変えることも理解はできる。とはいえ・・

そもそも知識を得ることで自分のお金事情が劇的に変わるとは思えないけど。

そのとおりです。劇的な変化など起こりません。一発逆転なんて夢見てはいけません。地道に、コツコツと、少しづつ変えていくしかないのです。
そこで必要になるのが良い循環を作ること。その始まりはまず稼ぐことです。
今現在まとまった資産がない以上、残念ながら収入を得なければ何も始まりません。そこから正のスパイラルを創り出すのです。
《稼ぐことから始める正のスパイラル》
ポイントは、「稼ぐ」、「節約する」、「増やす」を同時進行すること。
①収入の確保・・ゼロは何をかけてもゼロ。60歳を過ぎても、働くことで得た収入がすべての元手になる。
②固定費の削減と公的制度の有効利用・・本当に無駄なものは何かを考える。利用できる制度や受けられる減免措置を調べる。
③資産運用の実践・・長期分散投資を少額からでも実行してみる。長寿社会を見据えれば60歳スタートでも決して遅くはない。
働いて稼ぎ、お金の使い方に気を付けて、公的制度や金利の力を利用してわずかでも増やすことを実践している限り、状況は少しづつではあっても必ず良くなっていきます。
問題は実践できるかどうか?です。
付きまとう手遅れ感や難解で不親切な社会制度。それに加えて私たちからなけなしのお金をむしり取ろうとする人たち・・
これからの生活を支えていくには、いろいろな敵と戦わなければなりません。
お金の劣等生よ、今こそマネーリテラシーの旅へ!
マネーリテラシーとはいったいどんなものなのでしょうか?

簡単に言えば、「お金に関する知識を身につけ、その知識を活かしてお金を賢く使うための能力」のことです。
しばしば話題にのぼる「日本人のマネーリテラシーの低さ」
その理由は、金融について教えない学校教育や、お金の話題を嫌う風土などが挙げられています。そのうえお金の話を嫌う社会では学ぶ機会も当然少なくなります。

60歳の私がお金がないのはやはりこの国のせいなのか・・でも、同じ教育を受けたはずなのに大きな差がついたのはどうして?
たまたま学ぶ機会に恵まれた人、仕事や人との出会いがきっかけになった人、あるいは大きな失敗を機に意識が変わった人もいるかもしれません。
必要に迫られて必死で学んだというケースもあるでしょう。

人はみな、「自分事」となって初めて学ぶものですし、時には遠回りすることも必要です。しかし、お金のない60歳はそんなことをしている場合ではありません。
これから向き合わなければいけない数々の問題。定年退職、年金受給、生命保険の見直し、親の介護・・。
もう間違った選択をするわけにはいかないのです。
今こそマネーリテラシーの旅に出るときなのです。それはとても険しく敵の多い冒険の旅になることでしょう。
それでもいいと思いませんか?冒険は若者だけの特権ではありません!
人生100年の時代。60歳はまだ道なかばですから。

このブログは《ストーリー仕立ての第1部》と《テーマ解説記事の第2部》の2部構成になっています。
《第1部》
ややクセ強めのファイナンシャルプランナー・芝ハマヲと、ワケあり還暦世代の男女5人が、それぞれのお金の問題に挑む物語!
【連載ストーリー】還暦リベンジャーズ!
《第2部》
60歳なのにお金の心配が止まらない・・
そんな「お金の劣等生」が人生100年時代を生き抜くためのマネリテ講義!
【FPが解説】還暦世代のためのお金の知識!