魅惑のささやき「リボ払いに・・」魔物は姿を変えて忍び寄る。

クレジットカード 【解説】還暦世代のためのお金の知識

「どんなに買い物をしても、お支払いはひと月1万円でけっこうです!」

そんな夢のようなカードがあったらいいなー。

ございます!

たぶん誰でも持っている。財布の中に入っている。

FPハマヲ
FPハマヲ

そうです。今日は「リボ払い」のお話。

リボ払いって何?

リボ払いは、クレジットカードの支払方式の1つ。正式な名前はリボルビング払い。

語源は英語の「revolve(回転する)」。なるほど。リボルバーっていう拳銃の意味が分かりましたね。あれは回転式拳銃。今回の話とは関係ありませんが。

この「リボ払い」のいちばんの特徴は、毎月の支払額があらかじめ決められていることです。

ただ、この点については2つのパターンがあります。

①「定額方式」これが一般的な方式で、この場合は支払いが常に一定。

②「残高スライド方式」これは支払残高の大きさによって毎月の支払額が段階的に変わる方式。

たとえば、支払残高が10万円までは毎月1万円、20万円までは2万円、それ以上は3万円・・というかんじで。

支払金額の中の手数料の扱い方の違いなどで、他にもいくつかのパターンがありますが、ややこしくなるので、ここでは触れません。

とても便利な支払方法だと思うけど、いったいリボ払いの何が問題なの?

リボ払いの何が問題なの?

毎月の支払いを定額にできるから「月々の家計の計画が立てやすい」という理由で多くの人がリボ払いを利用しているわですが、あまり考えずに買い物をしていると大変な事態に陥ることも多い。

特に危険なのは①の定額方式。

「今これを買っても、月々の支払いは変わらず1万円だし・・」

という感じで軽い気持ちで新たな買物をすると、その分の支払残高が増えることになるのにその自覚はあまり無かったりする。

なぜなら月々の支払い金額は変わらないから。

そして、限度額いっぱいになって、もうカードが使えない!となるまで買い物ができてしまう。

そうなるとけっこう大変です。

FPハマヲ
FPハマヲ

このリボ払いにしても、3回以上の分割払いにしても、名前は違っても「借金」なのです。

借金には「借入残高」に利率をかけた「利息」がつく。

リボ払いにも「支払い残高」に利率をかけた「手数料」がつく。この場合の「手数料」とは「利息」のことです。

ここで、とってもザックリではありますが事例をひとつ。

たとえば50万円のカード限度額いっぱい買い物をして、毎月1万円ずつのリボ払いで支払うとします。(この時点で50万円の借金をしている状態)

リボ払いの手数料はカード会社によって違いますが、だいたい15%くらい。

この15%は年利なので

1年間の手数料は、

500,000円×15%=75,000円

1ヶ月あたりの手数料は、

75,000円÷12=6,250円

月々1万円の支払いの中の6,250円は手数料ということなので、

返済した元金は3,750円

つまり支払い残高は3,750円しか減らないということになる。

そして次の月も

496,250円×15%÷12か月=(約)6,203円の手数料と(約)3,797円の元金を払って、

支払い残高は492,453円

これを毎月繰り返すことになります。

 

すべてを支払い終わるのに何ヶ月、いや、何年かかるのかを考えると恐ろしくなる・・そしてそれまでの間にいったいどれくらいの手数料を支払うのかも考えたくもない。

それでもこんな感じで、少しずつだとしても元金が減っていくならまだいい。いずれは完済できるわけですから。

でも、人間は弱い生き物なのです。

支払いを続けていると、元金が減った分だけの利用枠ができる。

FPハマヲ
FPハマヲ

いや、「できてしまう」と言った方がいい。そんなものはできない方がいいのです

人間は弱い。利用枠ができれば利用してしまう。

その結果、支払い残高は50万円に逆戻りして、またそこから支払いのスタートとなります。

FPハマヲ
FPハマヲ

それは言ってみれば、年間75,000円(毎月3,750円)の手数料(利息)をカード会社に払い続けるだけの生活の始まりです。

そんなことを繰り返していれば、払っても払っても元金の50万円はまったく減らない。そう、それは永久に続くのです。

カード会社がリボ払いを熱心にお勧めする理由

リボ払いの怖さが少し見えたのではないでしょうか?

このことを理解したうえで、カード会社からのメールの内容を確認してみてください。「リボ払いへのお誘い」が多いことに気づきませんか?

「毎月のお支払いを定額にして安心の返済を!」

「一括払いのご利用を今からリボ払いに変更できます!」

一括払いではカード会社は私たちから手数料は取れません。手数料は私たちに売った側のお店や会社からの数%だけなのです。

となれば、利用者から15%の手数料を取れるリボ払いは、是非ぜひ利用して欲しい支払い方法だということは簡単に理解できると思います。

怖がらずに現状を理解する

今回の話はカード会社の陰謀のように聞こえるかもしれませんが、リボ払いが必ずしも悪だということではありません。

この支払方法のおかげで、一時のピンチを切り抜けた人も多いはずです。

そもそもクレジットという仕組みのおかげで私たちは便利に都合よく暮らせているのも事実です。

日本クレジット協会も注意を促しています。

「リボ払いでは支払い残高の大きさにより、支払いの期間や手数料の負担が変わります。利用した後も、利用明細等にしっかりと目を通し支払い残高を確認しましょう」

日本クレジット協会ウェブサイトより

支払い残額なんて知るのが怖い。手数料の総額も気づかなかったことにしたい。月々の支払いは増やしたくない・・・いったいどうすれば?

いろんなことに目をつぶって、とにかく今を乗り切らなければ・・と走り続ける日々なのかもしれません。

しかし、還暦世代が人生100年を生き抜くためには、怖がらずに現状に目を向けることが必要です。

今までさまざまな「借金」をし、そして「利息」を上乗せして「返済」をしてきたことでしょう。

家、車、教育、そして想定外の出費・・それは避けることができなかったでしょうし、けっして悪いことでもありません。

FPハマヲ
FPハマヲ

しかしもし現在、「ただ利息を払い続けるだけの借金」を抱えているとしたら、今すぐに、たとえ少しずつでもいいので「残高を減らす」ためのことを始めるべきなのです。

なぜならそれは本当に無駄な出費だからです。

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