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《第9話 行動こそ最速の学習法!》
物価高騰が叫ばれ、生活不安が高まっている。
収入はほとんど増えないのに、税金や社会保障費は徐々に増え、その上何を買うにもためらうほどの値上がり。
しかしその反面、無料で利用できるものや価格が下がりつつあるものも見受けられる。
以前は図書館や書店に足を運ばなければ調べることすら出来なかった「知識」は、ITの進歩で家に居ながら即座に入手が可能となった。
そしてそのための通信費は決して高額ではないレベルまで抑えることもできるのだ。
つい最近まで窓口やATMに並ぶ必要があった金銭の移動も、手持ちの端末で、しかも手数料をほとんど気にせずにできてしまう。
こういう点については時代の恩恵と捉えて良いのだろう。
ところがこの恩恵というべき利点の数々は、ややもすると私たちに大きな事実の誤認をもたらすこともある。
「わからないことは誰かがすぐに教えてくれる」
「面倒なことは手ごろな値段で誰かがやってくれる」
確かにそれは間違いではない。しかし、どんなことにでも当てはまるかといえば、答えはもちろんNOである。
今や、大抵の悩みやトラブルの解決方法を知ることは容易い。
「あぁなるほど、そういうことか・・」
というところまでは、おそらく即座に、そしてほぼ無料で行き着くのだ。
問題はその先である。
「ならば、こう動こう」「さらにこうしてみよう」
その後の行動こそが知識を得る意味であり、本気度が試される場面なのだ。
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ようやく提示された極秘プロジェクトの核心部分に触れるべく、5人は手にした資料に目をとおしていた。
《極秘プロジェクト詳細》
【概要】
⚫︎プロジェクト名: 未定
⚫︎目的:日本中の還暦世代を元気にすること
⚫︎方法: 還暦世代専用のお悩み解決データベースを構築し、問題解決やモチベーションアップの糧とする
⚫︎特徴: データベースに蓄積するデータは、すべてプロジェクト参加メンバーの実体験から得られたものに限定する
⚫︎参加資格: 以下のアクションプランの実行を誓約できる方。
⚫︎メンバー特典:しばはまFP事務所による個別コンサル無料権(無制限・無期限)【アクションプラン】
⚫︎初期メンバーによる課題解決の実行
⚫︎初期メンバーによる課題解決の報告会の実施
⚫︎初期メンバーによる新規メンバーの勧誘
⚫︎初期メンバーによる新規メンバーの課題解決サポート

いかがですかな?何か不明な点はあるでしょうか?
5人はしばし考え込んだあとお互いに顔を見合わせた。

不明な点というか・・

なんというか・・

あまりにもザックリとしていて・・

あ、やっぱり?私だけよくわからないのかと思って焦っちゃいました。

もしかして、このザックリ感に意味があるということですか?

どうやらこれだけでは分かりづらいようですな。

ええ。先生、もう少し詳しい説明はないんでしょうか?

そうですな。補足をするとすれば、これはみなさんがご自分たちで作り上げるプロジェクトということくらいです。

確かにアクションプランを見るとすべて初期メンバーによる・・となってますね。

あ、たしかに。この初期メンバーって・・私たちのことかしら?

まあ、そういうことでしょうね。もちろん参加した場合の話ですけど。

なんか、私たちの負担けっこう多い感じしません?

ユ:そうね。でも目的と方法のところについては素晴らしいと思うわ。

私もそう思います。もしこういうものがあったら助かる場面がけっこうあるでしょうから。

それはそうですけど・・やはりちょっと大変かな。

どうやらみなさんには不安要素が多いようですな。ただ、着目していただきたいのはメンバー特典のところなんですが・・。

個別コンサル無料権というところですね。無制限で無期限。

たしかにこれは魅力的ですね。この前ほんの少しお話しただけで、だいぶ発見がありましたし、希望が持てた感じがしました。

私もそうでした。それがずっと無料というのは嬉しいかな。

考えてみればそういう権利がそう簡単に手に入るはずがないですよね。こちらもそれなりのことをしないと。
その言葉にみな納得したようにうなずいた。

ご理解いただけて嬉しいですな。今の世の中、勘違いしている人が多いと思うのです。スマホひとつで大抵の情報は無料で手に入る。送料無料で荷物が届く。あらゆるサービスに無料お試し期間がある。そういうことが誤解を生むのです。

無料があたり前っていう誤解ですね。確かにそれはあります。

でもそれは無料で提供する側の戦略でもあるわけですよね。無料お試し、無理サンプル、それから無料相談っていうのもありますけど、その後の有料の商品や有料のサービスに繋げる為のものでしょう。

あ、ラーメン屋の餃子無料券っていうのもありますね。あれもラーメンっていう有料商品に繋げるためのものですね。ラーメンご注文の場合に限りご利用できますって書いてあるし。

それはなんか、ちょっと違う気が・・

まあ広い意味ではそれも同じではありますな。そして今みなさんが思いつくような「無料」のものは別に悪いものではありません。サトルさんが指摘されたとおり。それが無料提供する側の戦略だとみなさんも気づいているからです。

私の店でもサービス券とかは広告宣伝費で経費にしてますから、大抵のものは広告と考えればいいんですよね。

会計処理の話になるといくつかの考え方がありますが、いずれにしても目的は広告宣伝や販売促進ということになりますな。・・で、何のお話でしたかな?

メンバー特典の無料コンサルの話でしたね。

そのためには私たちもそれなりのことをしないと・・というあたりの話かと。

ああ、そうでした。そもそもみなさんをこのプロジェクトにお誘いしたのは、どなたもご自分の抱えているお金の悩みや心配事の解決を望んでおられたからですな。

そうです。でもちゃんと相談に乗ってもらうにはやはりそれなりのお金がかかるのかなと。そしてこのプロジェクトの話になったんです。

そうそう。参加すれば相談が無料という話に誘われたんですけど、そのプロジェクトでの任務がけっこう大変そうだなって。

なるほど。要するに、今みなさんがひっかかっているのは、メンバー特典の価値とアクションプランの任務とのバランスの問題ですな。

ケ:そうです。みんな仕事や家庭のことでけっこう忙しいですし、果たして実行できるかどうかと不安なんだと思います。

ユそれにけっこう難しそうなことばかりで・・。

具体的にはどのあたりが難しそうですかな?

・・ん~ん、そうですね・・具体的にといわれると・・

まずは問題解決ですが、そもそもどうしたらいいかわからないから悩んでいるわけで・・。

それに報告会といってもどうしたらいいかわからないし・・。

メンバーの勧誘なんて絶対怪しまれるし・・。

ましてや他の人のサポートなんてできるはずがないんじゃないかな・・。

そうですか。それではひとつずつ見ていきましょう。物事は印象だけで判断してはいけませんからな。

それもそうですね。お願いします。

まずは「問題解決」ですが・・、そもそもそれがみなさんの望みなのではないですか?それを私のコンサルを受けながら進める。何か困ることがあるでしょうか?
つぎに「報告会」ですが・・、人間の知識や知恵というのは他人に伝えることで初めて自分のものになるのです。理屈で分かっただけでは意味がありませんから自ら実行することが必要です。しかしそれだけでは不十分なのです。他人にもわかるように体系立てて説明することでやっと完結するのです。
5人はそれぞれにハマヲの言ったことについて考えていた。

確かにそのとおりですね。そもそもの目的を忘れそうになってました。それに、人に教えてはじめて自分でも腑に落ちるっていう感じはよくわかります。

逆にいえば、他人に説明できないということはちゃんと分かってないってことですよね。

そうね。そう考えれば、この任務って私たち自身の為ということになるのかしら。

すべてコンサルを受けながらという点を忘れてましたね。それならできなくもないですかね。自分自身のことですし。

そこまでは分かります。でも、新メンバーの勧誘って・・やっぱりハードルが高いですよね。

その点は同感です。最近は質の悪いネットワークビジネスが多いですから、おそらく怪しまれますね。

ネットワークビジネスって、いわゆるマルチ商法ですよね?。ねずみ講的な。

そうですな。ネットワークビジネスとマルチ商法は同じと考えていいでしょう。一応は合法的なビジネスですが実際はグレーゾーンも多く、注意が必要です。一方のねずみ講は完全に違法です。
人を勧誘して組織を大きくすることで上層の人間ほど大きな利益を得るという点では共通していますが、大きな違いは商品の販売を伴うかどうかということですな。ねずみ講には商品の販売はなく、金品の受け渡しだけで組織がつくられていきます。

え?それでこのプロジェクトは大丈夫なんですか?

このプロジェクトには商品の販売も金品の授受も出てきません。メンバーは無料でコンサルを受け悩みの解決を実行し、その過程を無料情報として提供します。それを連鎖的に繰り返すことで情報量は徐々に増え、データベースとしての機能を充実させていくわけですな。

なるほど。違法どころか完全にホワイトな活動ということですね。

その点は安心しましたけど、やっぱり勧誘っていうのは・・・

勧誘といってもそれは広い意味で考えて構いません。なにも街角で知らない人に声をかけたり、電話をかけまくったりすることだけが勧誘ではありません。このプロジェクトの存在や意義を広めようという気持ちで行動すればそれはすべて勧誘ですので。

そういうことならそんなに難しくはなさそうですね。

それに、自分が本当に素晴らしいと思ったことって、言われなくても人に伝えたくなるものですよね。

それと同じ意味合いで、新規メンバーの課題解決サポートについて考えれば、決して難しいことでは無いと思います。
5人はあらためてアクションプランを読み返していた。

ほかに何かご質問はおありですかな?
ハマヲの問いかけに顔を上げたその表情はみな、どこか晴れやかで希望に満ちていた。
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