定年退職でも失業保険はもらえます。
この失業保険の正式名称は「雇用保険」の中の「求職者給付」の中の「基本手当」というなんだかややこしいものですが、この記事では一般的にな呼び名になっている「失業保険」で統一しています。

社会保障制度は名称だけでなく仕組みや規則も難解でややこしいものが多いですが、めげずに重藤なポイントをおさえることが大切です。
この記事では、定年退職後に失業保険を受給するまでの流れを具体的にわかりやすくまとめました。
受給に必要な書類や手続きのタイミング、注意点についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
定年退職前に確認しておくべきこと
まず、定年退職前に必ず確認しておきたいのが、「雇用保険に加入していた期間」です。
そもそもこの要件を満たしていないと失業保険の受給資格がありません。

離職前の2年間のうち、通算して12か月以上雇用保険に加入していれば受給資格があります。
退職理由や特例措置などで条件が異なる場合もありますが、退職理由が定年退職であれば気にする必要はありません。
もう一つ大切なのが、「離職票の発行予定日」です。
離職票は失業保険の受給のために欠かせないものだからです。
勘違いしがちですが、離職票は退職者が発行を希望た場合に発行されるものです。
退職手続きをしたら自動的に送付されるわけではないということです。

退職前に離職票が必要なことを会社に伝えて「離職票はいつ、どのように受け取れるか」を必ず確認して、手続きが遅れないようにしましょう。
離職票を受け取るまでの流れ
離職票が必要だということが会社に伝わっていれば、退職後に(通常は郵送で)離職票(1と2の2枚組)が届きます。
退職日から1週間〜2週間以内に発送されるのが一般的ですが、事務手続きの都合などで遅れるケースもあるようです。
しかし2週間以上経っても届かない場合は、会社に連絡した方がいいでしょう。

それでも会社側が対応してくれないようなら、管轄の労働基準監督署やハローワークに相談することもできます。
離職票の発行に関するトラブルは数多く起こっています。
ハローワークでの手続き方法
離職票が手元に届いたら、次はハローワークでの手続きです。
必要書類を揃えて住民票の住所地を管轄するハローワークに行きましょう。
《必要書類》
- 離職票(1と2)
- マイナンバーカードまたは運転免許証などの本人確認書類
- 写真2枚(3×2.5cm程度)※証明写真機で撮影可
- 印鑑(認印でOK)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(振込口座確認用)
窓口で「求職の申し込み」と「失業給付の申請」を行い、その場で受給資格の確認と待期期間の説明を受けます。

失業保険を受給するには就職活動をしていることが絶対条件なので、まずは求職の申し込みが必要です。
求職の申し込みは離職票の発行を待つ必要がなくいつでもできますから、先に済ましておいてもいいでしょう。
雇用保険説明会と求職活動の開始
失業給付の申請手続きから数日〜1週間後に開かれる「雇用保険説明会」に参加します。
この説明会では、失業保険の仕組みや認定日、求職活動の方法などについて説明を受けます。これには必ず参加しなければなりません。
説明会の当日に「受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、これで失業保険の受給の準備は完了です。
受給資格者証は、失業認定日や給付金の支給予定額などが記載されている大切な書類なので、大切に保管してください。

ただし、この時点ではまだ受給が決定したわけではありません。「失業認定」されて初めて受給が決定します。
ではその「失業認定」を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。
失業認定日と手当の受給スケジュール
「働ける状態である」し「働く意思がある」のに「働く場所が見つかっていない」
この3つの条件に当てはまると、失業状態であることが認められます。
これを「失業認定」といいます。

この「働く意思がある」ことを証明するためには「求職活動実績」を作る必要があります。
《求職活動実績の例》
- ハローワークでの職業相談・求人紹介
- 求人への応募
- 民間の就職説明会への参加
- 再就職支援講座の受講
この求職活動実績がないと失業者として認定されず、失業保険は受給できません。
失業認定日は一般的に雇用保険説明会の約3~4週間後に設定されていますが、この日までに必ず求職活動実績を作ってください。

その求職活動の内容を雇用保険説明会でうけとった「失業認定申告書」に記入し、認定日に提出します。問題がなければ「失業認定」されて失業保険の受給が決定です。
この認定が済むと、通常1週間以内に指定口座へ給付金が振り込まれ、それ以降は28日ごとの認定日に同じ流れで認定と受給を繰り返す形になります。
再就職が決まった場合の手続き
失業保険の受給中に再就職が決まった場合は、速やかにハローワークへ報告しなければなりません。
就職予定日を伝えて「受給資格者証」と「失業認定申告書」返還して受給終了の手続きをします。

さらに、失業保険の支給残日数や新しい職場の雇用条件によっては「再就職手当」を受け取れる場合があるので、ハローワークで確認しておくと良いでしょう。
65歳以上の場合の注意点
定年退職の規定は会社によってさまざまです。
退職した年齢によっては失業保険の受給に影響が出る場合があり、特に65歳以上で定年退職した場合は、失業保険の考え方が大きく変わります。
その場合の給付金は通常と違い「高年齢求職者給付金」という制度になります。

この給付金は一時金として支給され、支給額や申請方法も異なるので、事前にハローワークで確認しておいた方がいいでしょう。
まとめ
定年退職後も、雇用保険の加入期間を満たしていれば、失業保険の受給は可能です。
手続きに必要な離職票については退職前から職場の担当者に確認して、ハローワークでの手続きに支障がないように心がけましょう。
定年退職の場合は給付制限期間がなく、手続きが滞りなく済めばすぐに支給対象となります。
長く会社員として働いていた人が定年退職すると、漠然とした不安感に襲われることもあるようです。

経済的に余裕がない場合は特に、求職中の生活資金の面をしっかり準備して、安心して退職後の生活をスタートさせましょう。
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