【雇用保険】定年退職で給料が激減!お金のない60歳必見の高年齢給付金とは?

社会制度

国が運営している社会保障制度・・年金や各種の保険などは、仕組みが複雑でとても分かりづらい。

しかも制度改正が頻繁に行われ、ちょっと目を離すとだいぶ変わっていたりして、とにかくややこしい。

結果として、

もう無理だ・・ワケが分からないし、きっと誰も分かってないだろう。国の制度なんだから自分に必要なことがあれば誰かが教えてくれるはずでは?

となるのも無理はありませんが、その考えは危険です!

日本の行政は他の国に比べてとても親切だと言われていますが、頼り切ってはいけません。

FPハマヲ
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こちらから申請しないと利用できない制度がたくさんあるのです。

そのひとつが今回のテーマ、

高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金

似たような名前でまたため息が出そうですが、

定年退職後も働き続けなければならない「お金のない60歳」にとって、この2つの給付金は知っておかなければならないものなのです。

定年後は給与激減の可能性が大!

定年後の働き方にはいくつかあります。

今まで勤務していた会社での「再雇用」や違う会社に転職する「再就職」、そしてすぐには働かずに失業保険をもらいながら次の職場を探すなど。

再雇用で働くと、ほとんどの場合は以前より給与が下がります。また、他の会社に転職した場合にも、前の会社より大きく給与が下がる可能性はあります。

FPハマヲ
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再雇用を選ぶとしても、再就職に挑戦するとしても、定年後の労働条件は決して甘くはないのです。

どれくらい給与が下がるかは会社によってかなり幅がありますが、半額近くになってしまうこともありますから、これは深刻な問題です。

ここで利用すべきなのが、よく似た名称でややこしいこの2つの給付金というわけです。

働く高年齢者を救う2つの給付金

定年退職後の給与の減少をカバーする、よく似た名称でややこしいこの2つの給付金は、

FPハマヲ
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給与が大きく下がるところから、年金が受給できるところまでの間のピンチを乗り切るためのもと考えれば分かりやすいでしょう。

ですから、受給できる期間は、60歳になった時から65歳になるまでとなっています。

それでは、ややこしさを乗り越えて、共通点と違う点に注意しながら2つの給付金についてみていきましょう。

高年齢雇用継続基本給付金

再雇用あるいは他の会社に転職した際に、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給していないことを条件に、60歳になった時点とそれ以降の収入を比べて、75%未満に下がった場合に、60歳になった月から65歳になった月まで支給されます。

高年齢再就職給付金

定年退職をして、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給している60歳以上65歳未満の人が、再就職して賃金が退職前の75%未満に下がった場合に、雇用保険の基本手当の支給残日数によって定められた期間(ただし65歳になるまで)支給されます。

2つの給付金の共通点

「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」はとてもよく似ています。まずは共通点を分かりやすくまとめてみましょう。

給付資格

  1. 年齢が60歳以上65歳未満である。
  2. 今の給与が60歳時点の給与の75%以下に下がった。
  3. 今の会社で雇用保険に加入している。
  4. 雇用保険に5年以上の加入実績がある。
  5. 今の給与が36万3,359円未満である。

受給金額

厚生労働省発行の給付金額早見表による給付率は、

給与の低下率74.50%の場合の0.44%から
給与の低下率61.00%の場合の15.00%まで
0.50%刻みで設定されています。続いて給付率をいまの会社の給与にかけた金額が給付金額となります。

2つの給付金の違い

つづいて、2つの給付金の違う点を抑えておきましょう。

受給資格の違い

FPハマヲ
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大きな違いは「雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)」受給の有無です。

雇用継続基本給付金》・・失業手当をもらっていない場合に限り、給与の低下率の条件を満たせば受給できます。

つまり次のようなケースが考えられます。

定年退職して同じ会社に再雇用された場合、通常は途切れなく働く形になり、失業手当を受給することはないので、受給できる可能性があります。

定年退職して違う会社に再就職した場合、途切れなく新しい会社で働き始めたり、働かない期間があっても失業手当を受給しなければ、受給できる可能性があります。

再就職給付金》・・失業手当をもらっている人が再就職をした場合に給与の低下率の条件を満たせば受給できます。

次に受給期間についてみてみましょう。

受給期間の違い

雇用継続基本給付金・・60歳になった月から65歳になった月まで。

再就職給付金・・雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の支給残日数によって受給期間が決まります。(ただし65歳になった月まで

●支給残日数100日以上200日未満:1年間
●支給残日数200日以上:2年間

つまり、失業手当をもらい初めてから、なるべく早く就職先を探したほうがお得だということです。

FPハマヲ
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これには、失業手当の給付をなるべく減らしたいという意図があるのでしょう。

2つの給付金の注意点

「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」についての注意点をまとめておきます。

①短期アルバイトなどの不安定な仕事の場合は受給できない

申請日時点で雇用保険に加入して働いていて、その後も継続して雇用される見込みがあることが必要です。

再就職手当を受給している場合は受給できない

この2つの給付金は、雇用保険から支給されるので雇用保険のほかの給付金と同時に受給することはできません。

③受給中に給与の低下条件を満たさなくなった場合、需給は停止される

受給途中でも、低下率が75%を超えた場合は支給されません。逆に、60歳の時点で受給資格に当てはまらなくても、65歳までのあいだに75%未満に低下するれば、その時点から受給資格が発生します。

④ 60歳までの賃金月額の確認が必要。

60歳までの賃金月額とは、 60歳に到達する直前の6カ月間の平均給与です。(交通費、歩合給、残業代、皆勤手当などを含み、賞与は含まない)

⑤高年齢雇用継続給付金は、2025年度から段階的に縮小・廃止されていく方針

まとめ

高年齢雇用継続給付金について、厚生労働省の文書では

高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的としています。

となっています。

少子高齢化で社会保障の維持が困難になりつつある中、支える側と支えられる側のバランスの維持が必須になってきます。

収入の大幅な減少で高齢者の労働意欲が低下して、結果的に支えられる側の比率が増してしまうことを食い止める手段ともいえます。

もちろん働く側の私たちにとっても、どんな働き方を選んだとしても減ってしまう可能性が高い60歳からの給与をカバーしてくれる給付金はありがたいものです。

受給要件に該当する場合はぜひ利用しましょう。

FPハマヲ
FPハマヲ

ただし、この給付金は基本的に事業主、つまり会社側が申請するものです。

会社の担当者が制度を熟知していない場合もあるので、こちらから積極的に行動することも必要です。

行政も会社も、完全に頼り切ってしまうのは危険です。

お金がない60歳にとって、うっかりによる失敗は絶対に避けたいもの。

「誰かが教えてくれる」、「誰かがやってくれる」という考えはそろそろ捨てた方が良いでしょう。

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