NISAとiDeCo・・
「よく耳にするけど、このふたつってどう違うの?」
お金に余裕のない還暦世代としては、今からでも資産を増やす方法があるならぜひとも知りたい!というのが正直な気持ちでしょう。
実際、年金額の少なさや抜け出せる気配のない不景気ムードからか、資産形成に関心を持つ60代が増えているようです。
その中でよく耳にするのが「NISA」と「iDeCo」。

どちらも国が後押しをする資産運用制度で、節税メリットがあることが魅力だといわれていますが、その内容や仕組みは全く違います。
特にiDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入条件や受給時期に制限があります。

「60歳からでも始められるの?」「節税のメリットはあるの?」「今から始めても意味がないのでは?」
そんな疑問や不安を抱えている方も多いと思います。
この記事では、iDeCoの基本知識やNISAとの違いを整理したうえで、還暦からでも始めるべきかどうかをわかりやすく解説していきます。
iDeCoとNISAの違いをわかりやすく解説
まずは、混乱しがちなNISAとの違いを整理しておきましょう。
NISA(新NISA)とは
- 投資の利益が非課税になる(通常は約20%の税金がかかる)
- いつでも引き出せる自由さが特徴
- 目的:自由に使うお金を効率よく増やすこと
iDeCo(イデコ)とは
- 毎月の掛金が全額所得控除になる → 節税効果が高い
- 運用益が非課税(通常は約20%の税金がかかる)
- 原則として60歳まで引き出せない
- 目的:老後の生活資金を確保すること
つまり、「運用益が非課税」という共通点はあるものの、NISAは「自由に使う資産の運用」、iDeCoは「老後資金の積立」という違いがあります。
投資商品選びの違い
NISAとiDeCoは、どちらも「投資商品」と「投資金額」を自分で選ぶことになりますが、その投資商品選びの自由度に違いがあります。
- NISAは、上場株式や投資信託など幅広い商品から自由に選べる。
- iDeCoは、定期預金などの元本確保型や比較的安全な限られた投資信託の中から選ぶ。
自由度はNISAの方が高いですが、iDeCoは老後資金形成が目的のため、長期安定運用向けの商品が中心です。

還暦世代にとって気になる「iDeCoは60歳まで引き出せない」という点についてはこの後解説します。
★NISAについてもっと詳しく➡「60歳からNISAを始めても遅くない!長寿の時代だからこそ意味がある理由」
60歳からでもiDeCoは始められるの?
「60歳から始められるの?」という疑問の答えは、条件付きで「可能」です。

2022年の法改正で、iDeCoの加入可能年齢は最大で「65歳未満」に引き上げられました。
つまり64歳までは入れるわけですが、加入には次のような条件があります。
60歳以降でも加入できる人
- 厚生年金に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)
- 国民年金に任意加入している自営業者(第1号被保険者)
このようにに公的年金の被保険者資格がある人に限られます。
60歳以降は加入できない人
- 会社を退職している人(年金生活者を含む)
- 専業主婦(第3号被保険者)で配偶者の扶養になっている人※夫が厚生年金に加入していても本人は年金から外れる。

厚生年金加入で働いている人でも、勤務先が「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を導入している場合は加入制限があります。
還暦世代からiDeCoを始める意味はあるのか?
加入するための条件を満たしているとしても、
「今から始めてることに意味はあるのか?」というのが気になるところですが・・
60代からでも節税という意味では十分な効果があります。
所得控除の効果は大
iDeCoでは、毎月支払う掛金が全額「所得控除」になります。
たとえば、月2万円を掛けた場合、年間24万円が課税対象所得から差し引かれます。
年収や課税所得によりますが、所得税+住民税の合計で約3〜5万円の節税になるケースもあります。
受け取るときも控除あり
積み立てたお金を受け取るときも「退職所得控除」または「公的年金等控除」が適用されて税金の負担が軽くなります。※受け取り方の違いでどちらかの控除になります。

つまり「積み立てるとき」「運用益が出たとき」「受け取るとき」という3つの節税メリットが得られるのがiDeCoの強みです。
60歳から始める際の注意点
60歳からiDeCoを始める場合に気を付ける点をまとめました。
一定期間現金化ができない
本来iDeCoは、60歳まで積み立てたお金を引き出すことができません。

とはいっても、積み立てを始めるのが60歳だったらどうなるの?
その場合にはまたほかのルールがあります。

iDeCoで積み立てた資金を受給できる(現金化できる)年齢は、加入期間によって変わります。
加入した年齢が60歳前後の場合、次のようになっています。
- 加入期間:4年以上6年未満➡受給可能年齢:63歳から
- 加入期間:2年以上4年未満➡受給可能年齢:64歳から
- 加入期間:1ヶ月以上2年未満➡受給可能年齢:65歳から
たとえば、61歳でiDeCoに加入し、3年間積み立てた場合、受け取りは64歳以降となります。

逆に受給開始を75歳まで遅らせることも可能です。その分運用益の増加が見込めます。
運用期間が短いので低リスク商品を
資産運用は「長期」になるほど収益面でのメリットが大きくなり、リスクも軽減されます。
若い世代と違い、60代は「運用できる時間」が限られています。
そのため、値動きの激しい株式や海外リスクの高い商品に偏るのは避けたほうが無難です。

バランス型の投資信託や元本確保型商品(銀行預金など)を選ぶことで「短期」のリスクを避ける工夫が必要です。
まとめ
60歳からでも、年金加入などの条件が合えばiDeCoを始めることは可能です。
比較的短い期間でも節税メリットが期待できるので、老後資金の準備という意味では有効な手段です。
ただし、自由に引き出せるNISAとは違い、一定期間資金が拘束される点は注意が必要です。
NISAであれiDeCoであれ、資産運用は長期であるほどメリットは大きくなりますが、現在は健康寿命が延び、働ける期間も長くなっています。

今からでも、できることはいろいろあります。その中でもNISAやiDeCoは比較的安全で効率のいい制度だといえます。
手遅れ感に負けてあきらめモードにならず、まずは制度を知ることから始めてみてはいかがでしょう。
その行動が将来に大きな差を生むかもしれません。
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