物価高騰が叫ばれ、将来の生活不安に暗いムードが社会を覆っています。
そんな中・・
ただでさえ受給見込み額が少ない国民年金加入者は不安の真っただ中にいることと思います。
そこで今回は、そんな不安を和らげることができる「大きな朗報」をお伝えします。

年金制度は迷宮ともいえるほど複雑で分かりづらいものですが、
今回の内容は、是非とも知っておくべき重要な知識です。
テーマは・・
60歳からでもできる!年金の受給額を80%以上増やす方法!
年金が増える「繰り下げ」

手元にある「ねんきん定期便」を見てみましょう。
こんなことが書いてあります。
「年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できます」
「年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します」
年金の受給開始は基本的に65歳からですが、実は自分の意志で選べます。
早めるのが「繰り上げ受給」
遅らせるのが「繰り下げ受給」です。
今回は年金の増額に有効な「繰り下げ」についてのお話。

簡単に言うと・・
年金をもらい始める年齢を遅らせれば遅らせるほど、金額が増えるという制度なのです。
- 《繰り下げで増える金額》1ヶ月遅らせるごとに0.7%
- 1年遅らせて66歳から・・・0.7%×12か月で8.4%増える。
- 5年遅らせて70歳から・・・0.7%×60か月で42%増える。
- 10年遅らせて75歳から・・・0.7%×120か月で84%増える。

これはなかなか凄い。
10年遅らせると2倍近くになるわけです。
しかもその額の年金を一生涯もらえるのですから。
年金の繰り下げ受給の損益分岐点
当然のことながら、この「年金の繰り下げ」には賛否両論があります。
自分が何歳まで生きるかなんて誰にもわからないからです。

5年も10年も遅らせて増額したところで、元を取るには相当長生きしないとだめでしょ。
いったい何歳まで生きればいいの?
そんなふうに考えるのも自然なこと。
受給開始を遅らせた場合、何歳まで生きればもらえる総額が多くなるのか?

この年齢を損益分岐点なんていう言い方をしますが、これについては計算ですでに答えが出ています。
《繰り下げ受給の損益分岐点》
70歳まで繰り下げ・・・81歳
75歳まで繰り下・・・86歳
つまり、この年齢より長生きすれば「遅らせてよかったね!」となるわけですが・・

何歳まで生きるかわからないから、繰り下げってギャンブルみたいな気がするけど・・
もしも繰り下げている途中で死んでしまったら?
そう思うのも自然なことです。
そこで、そんな不安を少し解消できるお話をひとつ。
「さかのぼってもらう」4番目の選択肢

ここで、年金受給を開始する年齢の3つの選択肢をもう一度確認しておきましょう。
《年金受給開始年齢の選択肢》
- 基本となっている65歳(基準金額のまま)
- 繰り下げ(75歳まで先送り可能・金額は増える)
- 繰り上げ(60歳まで前倒し可能・金額は減る)
予測ができない「寿命という変数」があるために、
この選択はとても難しくて大きな決断を迫られている感じがします。

もし、繰り下げ中に死んでしまたらどうなるの?
たとえ生きていたとしても、「やっぱりもらっていた方が良かった・・」なんて後悔することがあるかも?

ここで、もうひとつの選択肢があることを知れば、少しは気が楽になるかもしれません。
それは、「繰り下げた分をさかのぼって一括でもらう」という方法。
たとえば・・
65歳になった時点では、年金を受給しなくても生活ができる状況だったので、繰り下げることにした。
でも、途中で何かの事情でまとまったお金が必要になった場合などに有効です。
ちょっとややこしいので、具体的な例で確認してみましょう。
65歳でもらわずに繰り下げていた。
しかし、70歳になるときに事情があり、さかのぼってもらうことにした。
その場合は、65歳から69歳の5年間分を一括でもらえる。ただし、金額は65歳時点での金額×5年分となる。(繰り下げによる増額はない)
そしてその後は、65歳時点での金額を毎月もらっていく。
という感じですね。

ただし、さかのぼって受給できるのは5年前までの分だということには注意しておく必要があります。
この場合の具体例はこんな感じ。
65歳でもらわずに繰り下げていた。
しかし、71歳になるときに事情があり、さかのぼってもらうことにした。
この場合は、66歳から70歳の5年間分を一括でもらえる。このときの金額は、66歳時点での金額×5年分となる。(1年分の繰り下げが反映される)
そしてその後は、66歳時点での金額を毎月もらっていく。
つまり・・
繰り下げをしてもらわずにいた年金をとりもどすチャンスを残せるということです。

この4番目の選択肢はある意味で保険といえます。
つまり、年金をあてにしなくても生活資金に問題がない状況なら、
とりあえず繰り下げて様子を見るということも可能になるわけです。
繰り下げ中に亡くなったら?
受給開始を遅らせて年金を増やす「繰り下げ」は、長生きをすればするほどお得になるというものです。
しかし人の寿命は誰にもわかりません。

活きている場合に5年間分をさかのぼってもらえるのは安心だけど、もしも繰り下げをしている間に死んでしまったら、その年金も消えてしまうのか?
もしそんなことになったら悔やんでも悔やみきれません。

繰り下げ中に本人が亡くなった場合、
過去5年分までの年金は遺族が受け取ることができます。
この場合の条件は、さかのぼってもらう場合と同じです。

繰り下げ中の69歳で亡くなった場合・・・
それまでの5年間分の年金を65歳時点の受給額をもとに計算して遺族が受け取ることになります。70歳で亡くなった場合・・・
66歳時点の受給額をもとに計算して5年間分を遺族が受け取ります。

これは、繰り下げをする場合の大きな安心材料になりますが、注意しなければいけないことがあります。
受給開始後に亡くなった場合は、さかのぼってもらうことはできません!
たとえば、
繰り下げをして70歳から受給を開始してすぐになくなった場合、繰り下げた期間分を遺族が受け取ることはできないのです。
繰り下げ中の死亡と受給開始後の死亡では大きく条件が異なる点は要注意です。
まとめ
最大で84%の増額が見込めるこの「繰り下げ受給」は、人生100年と言われる長寿社会を生きる私たちにとって、選択肢に入れるべき有効な手段だと言えます。
特に、受給見込み額が少ない国民年金加入者にとっては、
60歳を過ぎてからでも受給額を増やす数少ないチャンスのひとつです。
しかし、何歳まで生きるのかが誰にもわからない以上、選択が難しいのもまた事実。

その時々の生活資金の状況や働き方、健康状態などをよく見極めて最良な選択をしなければなりません。最良な選択をするためには、この記事で解説した選択肢をよく理解してください。
年金に限らず、社会保障の制度は頻繁に改正されます。
それは制度自体を維持するために必要だからですが、結果的にそこにあるメリットとデメリットも刻々と変化していくことになります。
私たちがすべきことは、
制度をよく理解して、自分の人生にとって何が大切かを考えることではないでしょうか。
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