制度改正で年金の84%増額が可能に!受給開始年齢に注意が必要な理由を解説!

年金

「年金なんかあてにしない!」若い頃そんなふうに考えていた人も多いのではないでしょうか。

常に破綻が囁かれていた年金制度に対する不信感。負担が多すぎる保険料の納付への不満。そして分かりづらい制度の仕組みなど、「年金」にはネガティブな印象を抱くことが多く、保険料なんて払いたくないと思うほうが自然だったともいえます。

そしてその考えが賢明ではなかったということに気づくまでには長い年月が必要なのです。今さら気づいたところで・・とあきらめるのはまだ早い。

この記事では、還暦世代となった今からでもできる「年金の受給金額を大幅にアップする方法」について解説します。

後悔!老齢年金の見込額

給料から年金保険料が天引きされる会社員は納付を免れることはできませんが、自営業者や、諸事情で国民年金に加入していた場合には、免除や猶予の申請をして納付を免れていたというケースも多い。

その時は負担が減ったことを喜んでいたかもしれない。しかし、受給年齢が近づいてきた今、それが後悔に変わることになります。

ねんきん定期便にある「老齢年金の見込額」の少なさに驚き、過去の自分に言いたくなるのです。「年金の保険料はちゃんと払いなさい」と。だが時を戻すことはできない。そしてこの定期便の見込み額をいくら眺めていても数字は変わらないのです。

しかしあきらめるのはまだ早い。今からでもできる年金の増額方法があります。

年金が増える「繰り下げ」

手元にある「ねんきん定期便」を見てみよう。こんなことが書いてあります。

「年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できます」
「年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します」

これが「年金の繰り下げ」という制度。

簡単に言うと、年金をもらい始める年齢を遅らせれば遅らせるほど、金額が増えるという制度なのです。

本来の受給開始年齢の65歳からもらう場合を100%とすると、1か月遅らせるごとに0.7%増えます。

1年遅らせて66歳からもらい始めると、0.7%×12か月で8.4%増える。
5年遅らせて70歳からもらい始めると、0.7%×60か月で42%増える。

しかも、昨年の4月の制度改正によって、遅らせられる上限が75歳まで延長されたのです。

10年遅らせて75歳からもらい始めると、0.7%×120か月で84%増える。

これはなかなか凄い。10年遅らせると2倍近くになるわけで、しかもその額の年金を一生涯もらえるのですから。

年金の繰り下げ受給の賛否と損益分岐点

当然のことながら、この「年金の繰り下げ」には賛否両論が巻き起こります。自分が何歳まで生きるかなんて誰にもわからないからです。

5年も10年も遅らせて増額したところで、元を取るには相当長生きしないとだめでしょ。いったい何歳まで生きれば?

そんなふうに考えるのも自然なこと。

受給開始を遅らせた場合、何歳まで生きればもらえる総額が多くなるのか?この年齢を損益分岐点なんていう言い方をしますが、これについては計算ですでに答えが出ています。

65歳と70歳の損益分岐点は81歳
65歳と75歳の損益分岐点は86歳
70歳と75歳の損益分岐点は91歳

ということです。ただ、繰り返しになりますが自分が何歳まで生きるかは誰にもわからないので、この損益分岐点の年齢は実際にはあまり意味を持たないともいえます。

そして、厚生年金加入の場合は、老齢基礎年金(国民年金の部分)と老齢厚生年金のそれぞれを別々に繰り下げることもできるので、結局のところ、その時々の生活資金の状態を考えながら、自分の暮らしに最適な受給開始の時期を決めるしかないでしょう。

「さかのぼってもらう」4番目の選択肢

年金受給を開始する年齢には次の3つの選択肢があります。

  1. 基本となっている65歳
  2. 繰り下げ(75歳まで先送り可能・金額は増える)
  3. 繰り上げ(60歳まで前倒し可能・金額は減る)

予測ができない「寿命という変数」があるために、この選択はとても難しくて大きな決断を迫られている感じがします。しかしここで、もうひとつの選択肢があることを知れば、少しは気が楽になるかもしれません。

それは、

繰り下げた分をさかのぼって一括でもらう」という方法。

たとえば、65歳になった時点では、年金を受給しなくても生活ができる状況だったので、繰り下げることにしたが、途中で何かの事情でまとまったお金が必要になった場合などに有効です。

しかもこれは、本人が亡くなった場合でも遺族が受け取ることができるので、「いつまで生きるかわからない」という予測できない未来に対する不安を少しは解消する材料になるでしょう。

ただし、さかのぼって受給できるのは5年前までの分だということには注意しておく必要があります。

事例をふたつ。

  1. 65歳でもらわずに繰り下げていたが、70歳になるときに事情があり、さかのぼってもらう場合、65歳から69歳の5年間分を一括でもらえる。ただし、金額は65歳時点での金額×5年分となる。(繰り下げによる増額はない)そしてその後は、65歳時点での金額を毎月もらっていく。
  2. 65歳でもらわずに繰り下げていたが、71歳になるときに事情があり、さかのぼってもらう場合、66歳から70歳の5年間分を一括でもらえる。このときの金額は66歳時点での金額×5年分となる。(1年分の繰り下げが反映される)そしてその後は、66歳時点での金額を毎月もらっていく。

この4番目の選択肢を考えると、生活資金に問題さえなければ、とりあえず繰り下げて70歳まで様子を見るということも可能になるわけです。

ただし、さかのぼって一括してもらう場合、ある程度のまとまった金額になるため、それに応じた所得税がかかることは認識しておかなければなりません。

要注意!繰り下げ受給の落とし穴

人生100年時代を生きる私たちにとって、年金の繰り下げ受給は有効な手段です。

健康寿命が延びて働ける期間が長くなることで、年金をもらわなくても生活が可能になり、同時に受給金額を増やすことができます。

ただ、年金の繰り下げ受給について注意が必要なこともあります。

  1. 社会保険料や税金が増える

年金も収入という扱いになるので、社会保険料や税金がかかります。

年金額が増えるということは所得が増えることになるので、国民健康保険料や介護保険料、所得税、住民税なども比例して増える場合もあるのです。

一定額の控除があるので影響が少ない場合もありますが、年金受給額が増えた分がそのまま手取り金額になるわけではないことは、意識しておいた方がいいでしょう。

2. 65歳以降の収入によっては規定の増額率どおりには増えない。

65歳以降に働いて収入を得ながらもらう「在職老齢年金」は、収入(給与と年金を併せた月額)が47万円を超えると、越えた金額の半分がカットされます。

つまり、この「在職老齢年金の減額」は年金の繰り下げ受給に大きく関係してくるのです。

繰り下げをしていて、実際には年金を受給していなくても、繰り下げをしなければ受給していたはずの金額と給与の合算が収入とされるからです。

そしてその合算した収入が47万円を超えた場合、越えた分の金額は繰り下げの対象となる金額から引かれてしまうのです。

その結果、年金を増額しようと繰り下げていたのに、思っていたほど増えないという場合もあるのです。仮に、給与だけで47万円を超えたとすると、年金の分は全額カットとなって、繰り下げてもまったく増えないということになります。

実際には年金をもらっていなくても、計算上は年金額が含まれていることに注意しなければなりません。

3.加給年金がもらえなくなる

「加給年金」というのは、年金に加算される家族手当みたいなもので、主に専業主婦の妻や19歳未満の子供を扶養している場合に、老齢年金に加算して受け取れるものです。

年金の繰り下げをしている間は、基本的にこの加給年金ももらえなくなります。

この「加給年金」は、妻自身が年金の受給年齢になった時点までで給付が終わるものなので、年齢差によってはまったくもらえないケースもあるということです。

これらの注意点は、収入や夫婦の年齢差などによって条件が異なる。自分自身の条件を確認したうえで最良の選択をしなければなりません。

まとめ

少ない年金額を嘆いていても仕方ないので、今からできる増額方法「年金の繰り下げ受給」について整理してみました。年金増額の方法は「経過的加算」や「国民年金の任意加入」などほかにもありますが、

最大で84%の増額が見込めるこの「繰り下げ受給」は、人生100年と言われる長寿社会を生きる私たちにとって最も有効な手段だと言えます。

しかし、何歳まで生きるのかが誰にもわからない以上、選択が難しいのもまた事実。

その時々の生活資金の状況や働き方、健康状態などをよく見極めて最良な選択をしなければなりません。

年金に限らず、社会保障の制度は頻繁に改正されます。それは制度自体を維持するために必要だからですが、結果的にそこにあるメリットとデメリットも刻々と変化していくことになります。

私たちがすべきことは、制度をよく理解して、自分の人生にとって何が大切かを考えることではないでしょうか。

 

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