年金を大幅に増額する3つの方法とは?還暦からでも間に合う秘策があった!

年金

「年金なんかあてにしない!」若い頃そんなふうに考えていた人も多いのではないでしょうか。

常に破綻が囁かれていた年金制度に対する不信感や、負担が大きい保険料の納付への不満。そして分かりづらい制度の仕組みなど、「年金」にはネガティブな印象を抱くことが多く、保険料なんて払いたくないと思うほうが自然だったともいえます。

給料から年金保険料が天引きされる会社員は納付を免れることはできませんが、自営業者や、諸事情で国民年金に加入していた場合には、免除や猶予の申請をして納付を免れていたというケースも多いことでしょう。

免除や猶予の制度なんて知らなかった。いや、そんな通知が来ていたのを無視していたのかもしれない。

受給年齢が近づいてきた今、それが後悔に変わることになります。

ねんきん定期便にある「老齢年金の見込額」の少なさに驚き、過去の自分に言いたくなるのです。

年金の保険料はちゃんと払いなさい!後でぜったい後悔するぞ!

しかし時を戻すことはできませんし、この定期便の見込み額をいくら眺めていても数字は変わらないのです。

でもあきらめるのはまだ早い。今からでもできる年金の増額方法があります。

この記事では、還暦世代となった今からでもできる「年金の受給金額を大幅にアップする3つの方法」について解説します。

年金制度の超基礎知識

受給額アップの話の前に、まずは年金について基本的なことを確認しておきましょう。

あの頃、年金制度についてもう少し知識があれば、きちんと納付をして、今こんなふうに困ったことにはなっていなかったかもしれません。

国民年金の基礎知識

  • 国民年金は20歳から60歳のすべての人が加入しなければならない。
  • 会社員の人が払っている厚生年金の保険料には国民年金の分も含まれている。
  • 会社員に扶養されている専業主婦は国民年金の加入者ですが、保険料の納付は免除されている。
  • 65歳からもらう老齢基礎年金の金額は、国民年金の保険料として納めた金額に応じて決まる。
  • 保険料の月額は年齢や収入にかかわらず定額(16,590円・令和4年度)
    受給額は1年間で777,800円(令和4年度・20歳から60歳のすべての期間に納めた場合)
  • この満額を基準として、納めていない期間分が減額される。

納めていない期間分について、「免除」を受けた場合は10年前まで「追納」ができますが、「未納(滞納)」の場合は2年前までの分しか納付できません。

免除と未納の違いさえ知らずに、結果的に未納期間が長くなってしまうと、この追納は現実的ではありません。そんな場合に有効になるのが、ここにあげる3つの年金増額方法です。

①「国民年金の任意加入制度

②「繰り下げ受給

③「経過的加算

どの方法も還暦世代の私たちには有効な手段ですが、どれが適しているかは60歳以降の働き方によって変わります。それぞれの内容や条件を理解して最適なものを見つけてください。

『国民年金の任意加入制度』

国民年金の保険料納付期間である60歳を過ぎた後も納付を続けることで年金受給額をアップできます。

国民年金の任意加入の条件

日本年金機構の説明では任意加入の条件を次の5つとしています。

  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
  • 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
  • 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
  • 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
  • 日本国籍を有しない方で、在留資格が特定活動や特定活動ではない方

要するに、繰り上げ受給をしておらず、他の年金制度に加入していなければ、「60歳から65歳になるまで」の期間にかぎり、「納付月数が480月(40年)になるまで」加入できるということです。

任意加入で増える年金額

60から65歳になるまでの5年間、任意加入して保険料を納めた場合の増額金額を見てみましょう。

《1年に支払う額》
16,590円(令和4年度の月額保険料)×60カ月(5年間)=995,400円
《1年間に増える額》
777,800円(令和4年度の満額)×60カ月÷480カ月=97,225円

このように、支払った金額は、年金を10年間もらえば取り戻せることになり、損益分岐点は年金をもらい始めて約10年後というわけです。

また、この任意加入の保険料に月額400円の保険料を上乗せして支払う「付加年金」という制度もあり、これは年金を2年間受給すれば元が取れるというとても効率の良いものです。この上乗せで、任意加入の損益分岐点をさらに早めることも可能になります。

国民年金の任意加入の注意点

  • 60歳から65歳になるまでの期間ならいつからでも加入できますが、この5年間すべての期間に加入したい場合は60歳から加入しなければなりません。そのためには60歳の誕生日までに手続きが必要です。
  • 年金定期便の「合算対象期間」の欄に月数の表示がある場合は任意加入による増額の計算が異なります。
  • 年金受給資格のための120ヶ月(10年間)の保険料を納付していない場合にかぎり、65歳から70歳の期間も任意加入制度が利用できる。
  • 任意加入によって納めた保険料と増える受給額の計算には複雑な部分もあり、免除期間の免除比率などによる違いには注意が必要です。

関連記事➡『国民年金の任意加入』についてもっと詳しく

『年金の繰り下げ受給』

年金の受給開始を先送りして受給金額を増加させる方法です。

ねんきん定期便を見てみると、こんなことが書いてあります。

「年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できます」
「年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します」

これが「年金の繰り下げ」という制度です。簡単に言うと、年金をもらい始める年齢を遅らせれば遅らせるほど、金額が増えるという制度なのです。逆に、前倒しで受給を始めるのが「繰り上げ」ですが、もちろんこの場合は金額は減ります。

本来の受給開始年齢の65歳からもらう場合を100%とすると、5年遅らせて70歳からもらい始めると42%増え、10年遅らせて75歳からもらい始めると84%増えるのです。

これはなかなか凄いですね。10年遅らせると2倍近くになるわけで、しかもその額の年金を一生涯もらえるのですから。

繰り下げ受給の損益分岐点

年金の繰り下げ受給には当然のことながら賛否が分かれます。自分が何歳まで生きるかなんて誰にもわからないからですね。

5年も10年も遅らせて増額したところで、いったい何歳まで生きれば?

何歳まで生きればもらえる総額が多くなるのか?いわゆる損益分岐点は以下のとおり。

65歳と70歳の損益分岐点は81歳
65歳と75歳の損益分岐点は86歳
70歳と75歳の損益分岐点は91歳

損益分岐点が分かったとしても、予測ができない「寿命という変数」があるために、この繰り下げの選択はとても難しく感じます。

しかしここで、「繰り下げた分をさかのぼって一括でもらう」方法があることを知れば、少しは気が楽になるかもしれません。しかもこれは、本人が亡くなった場合でも遺族が受け取ることができます。ただ、さかのぼって受給できるのは5年前までの分だということには注意が必要です。

繰り下げ受給の注意点

  • 社会保険料や税金が増える。年金も収入扱いされ、社会保険料や税金がかかります。年金の増額で所得が増えると、国民健康保険料や介護保険料、所得税、住民税なども比例して増える場合もあるのです。
  • 65歳以降の収入によっては規定の増額率どおりには増えない。65歳以降に働いて収入を得ながらもらう「在職老齢年金」は、収入によっては金額がカットされますが、この収入の計算は、繰り下げをして実際には年金を受給していなくても、繰り下げをしないで受給していた場合の金額と給与の合算となります。その結果、年金を増額しようと繰り下げていたのに、思っていたほど増えないという場合もあるのです。
  • 加給年金がもらえなくなる。「加給年金」というのは、年金に加算される家族手当のようなもので、主に専業主婦の妻や19歳未満の子供を扶養している場合に、老齢年金に加算して受け取れます。しかし、年金の繰り下げをしている間は基本的にこの加給年金ももらえなくなります。

関連記事➡『年金の繰り下げ受給』についてもっと詳しく

『経過的加算』

60歳以降も厚生年金加入で働くと、効率よく受給金額を増加させることができます。

働けば働くほど増えるふたつのお金

厚生年金は70歳まで保険料を納めることができますから、仮に60歳から65歳まで会社員として働けば、5年分(60か月分)の保険料が年金の金額に反映されます。

しかしそれとは別に増えるもの、それが「経過的加算」なのです。

勘違いしがちな点は、この「経過的加算分」の金額は、給料に応じて納めた保険料によって増える「報酬比例部分」の年金とはまったく別のものだということです。

つまり、60歳以降も厚生年金に加入して働くと、「報酬比例部分」と「経過的加算」の両方が増えるということです。

経過的加算で増える金額の計算

60歳以降に厚生年金に加入して1ヶ月働くと、65歳からもらえる年金が1,600円(年額)増えます。

たとえば、60歳から65歳まで5年間(60か月)働くと、60か月×1600円=96,000円(年額)増えるということなので、なかなかのものですね。

この経過的加算の嬉しいところは、給料の額に関係なく、月数×約1,600円で計算されるという点です。60歳以降は再雇用などで給与が低くなることが多いので、納めた保険料にかかわらず月数に応じて増えていくのはありがたいことです。

また、経過的加算は国民年金の加入期間や収めた保険料とは関係ないので、たとえ国民年金を満額になるように収めていても、60歳から厚生年金で働けばその分は増えることになります。国民年金を満額を納めた人にとっても有効な制度といえるでしょう。

経過的加算の注意点

この経過的加算で増やすことのできる厚生年金加入月数には上限があり、「厚生年金の480ヶ月になるまで」となっています。

つまり、厚生年金を480ヶ月納めた人は、この経過的加算の対象にはなりません。60歳時点で480ヶ月を満たしていない場合も、60歳以降どんなに働いても、経過的加算が増えるのは480ヶ月までとなるので、厚生年金で長く働いてきた人は注意が必要です。

関連記事➡『経過的加算』についてもっと詳しく

まとめ

年金の受給が現実的なものになり、今さらながらに後悔の念に駆られている還暦世代も多いことと思います。

「こんなことならちゃんと保険料を納めていればよかった」
「せめて免除申請だけでもしておけばよかった」
「そもそも年金についてどうしてもっと真剣に考えなかったのだろう」

しかし時は戻せません。少ない年金額を嘆いていても仕方ないので、今からできる3つの増額方法について整理してみました。

国民年金の任意加入」「年金の繰り下げ受給」「経過的加算

どれも有効な方法ですが、この3つの年金増額方法には共通点があります。それは60歳を過ぎても働き続ける必要があるということ。

「国民年金の任意加入」は月額16,590円(令和4年度の場合)の保険料を納めなければなりません。

「年金の繰り下げ受給」をするには、受給開始までは年金をあてにせず生活資金を確保しなければなりません。

「経過的加算」はそもそも厚生年金加入で働く必要があります。

人生100年といわれる時代になり、2021年の調査では、60歳から64歳の就労率は割合は80%を越えています。さらに65歳から69歳でも50%を超えました。

働けるうちは、年金を当てにせずに生活資金を得ながら保険料を納め、繰り下げ効果による増額も合わせれば、将来の受給額も大きくアップします。

とはいえ、何歳まで生きるのかが誰にもわからない以上、生涯で受給できる金額の比較ができないのもまた事実といえます。

ただ、年金が長生きリスクに対する保険だという本来の意味を考えれば、年金の増額のための努力は間違った選択ではないでしょう。

関連記事➡「年金は保険である」受給開始年齢の今だからこそ知っておきたい年金の基礎知識

年金に限らず、社会保障の制度は複雑で、そのうえ頻繁に改正されます。それは制度自体を維持するために必要だからなのでしょう。

いわゆる「年金破綻説」は私たちが若い頃から囁かれ続けてきましたが、今現在、年金制度は維持されています。将来的には受給額の減少が予測されますが、私たちの老後の支えになるのは間違いなくこの年金です。

関連記事➡少子高齢化で年金は破綻する?あまり聞こえてこない「破綻しない説」の4つの根拠

私たちがすべきことは、頻繁に制度改正され、メリットとデメリットも刻々と変化していく年金制度をよく理解して、自分の人生にとって何が大切かを考えることではないでしょうか。

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