少子高齢化で年金は破綻する?あまり聞こえてこない「破綻しない説」の4つの根拠

年金

年金制度は破綻に向かっている!

そんな話題が私たちの不安をかき立てる状態が長いあいだ続いています。その原因のいちばんに挙げられる少子高齢化は現実に進んでいて、今後しばらくはその傾向は変わりません。

年金の受給年齢にさしかかる還暦世代にとって、この「年金破綻論」がきわめて深刻なことはいうまでもありません。長い年月、なんとか納め続けてきた年金保険料が泡と消えてしまう。そんなことがほんとうに起こるのでしょうか?

この記事では、対立する「年金破綻する派」と「年金破綻しない派」の主張について、その根拠を探りながら、私たちのこれからの生活に大きく影響する年金の行く末を考えていきます。

年金破綻説の3つの根拠

「破綻」という言葉はとても怖い響きを持っています。経営破綻、財政破綻、破綻国家・・辞書的な意味は「物事が、修復しようがないほどうまく行かなくなること。行きづまること」ということ。

つまり年金破綻説とは、年金制度自体が存続できなくなり、私たちが老後の頼りにしている老齢年金も貰うことができなくなるということを意味しています。

そんなことが現実に起こる可能性はどれくらいあるのでしょう?まずは時おり報道を賑わす「年金破綻論」から見ていきましょう。

年金破綻説の3つの根拠

1,少子高齢化で年金は先細りしていく
2,不祥事の多い年金制度運営
3,年金資金の運用に失敗

1.少子高齢化で年金は先細りしていく

これは年金保険料を納める現役世代と年金を受け取る高齢者のバランスの推移についての話です。65歳を境目にして、高齢者1人を何人の若者が支えるか?

この点については、こんな例えが使われます。

1980年代は若者7人で高齢者1人を支える「おみこし型
2010年代は若者3人で高齢者1人を支える「騎馬戦型
2065年は若者1.3人で高齢者1人を支える「肩ぐるま型

少子高齢化がこのまま進めば、若者の負担が大きくなりすぎて支えることが出来なくなるということなのです。

2.不祥事の多い年金制度運営

2007年、年金記録データに多くの間違いがあることが発覚しました。

ずさんな事務管理が原因で起きたこの年金記録問題は「消えた年金」問題と呼ばれて報道を賑わせ、年金機構は大きな批判を受けたのです。

他にも、個人情報の漏洩や不正に行われた免除手続きなど、年金の管理体制の問題が多数指摘されています。

3.年金資金の運用に失敗

年金の資金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式投資などで運用していますが、その運用実績について、

「2019年度は8兆円程度の損失」
「2020 年 1 ~ 3 月期は 17 兆円程度の損失」
という報告がされています。

このような事実はたしかに「年金制度の破綻」という不安を感じるのに十分な理由になります。

やはり年金制度は破綻に向かっているのでしょうか?

ただその一方で、年金は破綻しない!という意見もあります。

いったいどっちが本当なんだろう?正反対の意見なのに、どちらも否定できない感じがする。

私たちを悩ますのはこの対立する二つの意見です。しかもどちらも理屈が通っている。だからこそ、両者の主張を吟味したり、その根拠を検証するなどして、自分なりの考えを持つことが必要になってきます。

では、テレビの報道などで触れることの多い「破綻説」に比べ、あまり取り上げられない「破綻しない説」についても、その根拠を見てみましょう。

年金が破綻しない4つの理由

 

年金破綻しない説の4つの根拠

1,年金保険料の納付者と年金受給者の数のバランスは人口ピラミッドからは読み取れない。
2,年金の財源を確保するために、国は常に税制や年金制度の改正を行っている。
3,年金資金の運用はトータルではうまくいっており、資金を堅実に増やしている。
4,年金制度が保険と同じ仕組みで運営されているかぎり、論理的に破綻が起こる可能性はきわめて小さい。

1.納付者と受給者のバランス

少子高齢化は確かに進んでいますが、それにともなって高齢者の労働人口も増えていて、さらに年金を受け取り始める年齢も高くなっています。

つまり、保険料を納付する人の数と年金を受け取る人の数との比率は人口ピラミッドから見えてくるような状態とは違っているということなのです。

要するに、単純に年金をもらい始める65歳という年齢で老人と若者に分けることに疑問を持つべきだということなのです。

2.原資を増やすための制度改正

国としても、年金保険料を払う人の比率を大きくするために、高齢になっても働きやすい社会や、主婦の方々がたくさん働いた方が得する税制や社会保障のさまざまな仕組みを考えています。

そして年金制度も改正されています。

年金をもらい始めるのは基本的に65歳ですが、これについては「繰り下げ」という選択もできます。その繰り下げられる年齢の上限が、70歳から75歳に引き上げられたのです。

受給開始を繰り下げればもらえる年金の金額は多くなります。増額できる幅を広げて「先送りすればするほ得をする」という感じのお誘いをしているわけです。

《関連記事》➡「還暦世代必見!制度改正で更にパワーアップ!年金を84%増やす方法!

このように、さまざまな施策で年金をもらう人と年金保険料を払う人のバランスを保とうとしています。

3.堅実な資金運用

年金資金の運用は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が行っています。

破綻説の根拠にもなっている運用失敗による巨額な損失は事実なのですが、実際の運用実績を見れば、かなりうまく運用しているのがわかります。

厚労省の報告によれば、2020年までの累計で100兆円以上の黒字となっている。つまり資金を堅実に増やしているのです。

もちろん投資では損失を出すこともあります。テレビ報道ではそういうケースを大きく取り上げているのでしょう。

4.論理的に破綻しない仕組み

これは年金制度の本質的な話といえます。

年金は保険と同じ仕組みで運営されています。保険というのはとてもよくできた仕組みで、集められる保険料、支払われる保険金、あらゆることが起こる確率などを計算しつくした上に出来上がっているのです。

理論的にはそのバランスが大きく崩れない限り破綻はしないということになります。

そしてその計算は常に行われ、世の中の変化に合わせて常にバランスを取るための措置がとられています

平成16年に導入されたマクロ経済スライドという仕組みも、このバランスをとるためのものです。

要するに、年金が保険と同じ仕組みの中で動いているかぎり、突然の破綻というのは考えづらいということなのでしょう。

老後の生活を支える大きな柱

「年金破綻説」と「破綻しない説」の両者に根拠がある以上、どちらとも否定することは難しいと思います。

とはいえ、破綻が噂されながらも年金制度が維持されてきた事実、そして破綻しない説の根拠を合わせて考えると、今すぐ、急に破綻を迎える可能性は低いと考えられます。

しかし、受給金額は少しずつではあるが減少を続けていて、決して明るい未来が開けているわけではありません。

そしてさらに言えば、日本社会の仕組みを根幹から揺るがすような事態が起これば、社会保障どころの問題ではなくなります。昨今の世界情勢を考えれば、あり得ないことでもないのです。

私たちの老後の暮らしを支える柱となるべき年金制度の行く末は、すべての国民にとって他人事ではありません。我が事としてしっかりとその動きを見て行くべきものなのです。

まとめ

「年金破綻説」と「破綻しない説」について見てきました。

それぞれに根拠があり簡単に否定できるものではありませんが、少なくとも現時点では、年金制度の存続についてあまり悲観的にならなくてもいいのではないでしょうか。

しかしながら、私たちの世代にとって老後の生活を支える大きな柱である年金制度については、よくわからないことが多いと感じます。

年金制度は社会状況の変化に合わせて幾度かの制度改正がなされています。制度改正は年金を維持するために必要なことではあるものの、その過程で生まれた「経過措置」や「特例」が制度の複雑さや分かりづらさの原因になっているのもまた事実です。

とはいえ、年金制度を効率よく利用するためには最低限の知識は必要なのではないでしょうか。

《参考記事》➡「年金をややこしくしている「自分に関係のない言葉」を知って、効率よく年金を学ぼう!

 

 

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